友人たちがバスで迎えに来てくれた。通常は、午前10時頃が平均的な出所時間らしい。しかし私は、早朝午前7時出所と告げられた。看守達が言うには、昔はヤクザの親分が出所する時は、子分たちが大勢迎えに来てうるさかったから早朝出所があったが、10年以上こんなことは無かったとのことである。
刑務所棟から刑務所正門まで重いリュックを背負って歩いた。正門に近ずくにつれ、20人位の人影が見えて来皆さんは、ジョンレノンがイマジンで歌ったノーヘブン、ノーカントリー、ノーポゼッションについて考えたことがあるだろうか? イマジンは、1971年に世界中で歌われ世界に衝撃を与えた。ノーヘブン?天国は無いのか?! ノーカントリー?国家も無いのか?! ノーポゼッション?所有が無いとはどういうことなのか?! 人間存在の根源を衝く正解のない難問である。天国は人間の中に明らかに存在しており、国家という統治組織は、強力な暴力装置/軍隊を持って牙を剝いている。
月にも届く財産を、世界の一握りの人間が独占し、無限に増殖しようとしている。不条理も理不尽も無くならない。所有は間違いなく無くならない。これが最大の難問だと思う。生命は、空気、水、食料、エネルギーがあって初めて成り立つ。だから、生命維持のための資源争奪戦は永遠に続く。
しかし、固体生命は有限である。頑張っても100年で終わる。国籍、民族によって命の軽重は無い。だから公正に分配すれば良いではないか?これが私の原点である。
資本は、株主優先、利益優先で、生産を支える生産者のことは二の次で、当然、偏った分配になる。寡占の弊害抑止の仕組みは、形だけで何の役にも立っておらず、所有バトルは終わらない。従って戦争も無くならない。
独裁国家では、独裁者及び独裁者周辺の金権集団にしか分配されない。庶民などは捨て駒、弾除けであり、明らかに排除すべき不正な分配である。どうすれば、世界がノーサイドになるだろうか?どうすれば、核兵器を地球外共同墓地に埋葬し、幸せ開発目標を共有し、地球サンクチュアリを実現することが出来るのだろうか?
利権と不条理にまみれた愚かな地球が、青く澄んだ惑星となることを願い、最後の時間と戦っている。空気と水と食料とエネルギーを公正に分配する仕組を作ることが出来れば、それ以上、何を望むのか?人類全員がノーサイド条約に加盟し、貧しくとも、人間の尊厳が守られ、地球がアメイジングな花の惑星に変わることが出来ればどんなに素晴らしいだろう。ノーサイド条約を拒否する非道な人間は、火星か木星の流刑地に飛ばしてやれば良いのだ。
終末時計は残り89秒を指している。(科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」)、1年で1秒縮まった。単純計算すると2113年に地球は終わることになるある。地球は、持続不可能な危険な状態にあり、核兵器への依存や異常な少数者への富の偏在、人心の分断、温暖化/気候変動に対してレッドカードが突き付けられているのである。こうした事態に直面し、国家の枠組みを超えた脱炭素やSDGsが着目され始めている。た。友人達である。歓声が上がった。「前田が出てきたぞ!」
懐かしいメンメンの顔が見える。バスに乗って日光の鬼怒川温泉で食事を取り、温泉に浸かって、コスモス街道を通って松本に帰還した。しかし、DGsは核兵器廃絶を除外している。核廃絶を除外したSDGsでは、歴史を変えることはできない。
宗教もSDGsでは触れられていない。宗教は、何千年もの長い間、人類と地球を戦争に巻き込み、第一次、第二次大戦以上の破壊と殺戮を繰り返して来た。宗教は救いにもなるが、常に異教徒排除の戦争要因を孕んでおり人類が背負った重い十字架である。人類が生存する限り、宗教が一つになることはないであろう。そのことを容認して人類共通の普遍的価値観を設計しなければならないのである。
近年、DEI と言われる規範が議論され始めた。
D:Diversity(ダイバーシティ)多様性
E:Equity(エクイティ)公平性
I:Inclusion(インクルージョン)包み込みである。
私には、DEI が未来の箱舟の規範になるように思われてならない。時間がかかることは承知している。100年かかっても1000年かかっても人類の普遍的価値として認知されターンブレイクしていくことを願っている。
私は、最後の一呼吸までジャッカルを辞めない。三国志の赤壁/レッドクリフのようなラッキーな風は吹かない。元寇の時のように都合の良い嵐も吹かない。自分で風を起こし、青く澄んだ地球と歓び合える家族、相棒、友人達の為に戦いたい。就いて来たいと思う者は就いて来てくれ!アモーレ!グッドラック!
なお本書の出版にあたっては、信濃毎日新聞社出版部及び北原広子氏から貴重なアドバイスをいただきました、心からの感謝を申し上げます。
併せて、本書「シーズン6:1967年」及び「シーズン7:1968年」部分の原稿は、重信房子氏発行「オリーブの樹」から原稿依頼を受け数年前に書いた文章をベースに書き加えたものです。
本書を製作していただいた風塵社の小松尚志社長を紹介してくれたのも彼女です。しかも小松社長は、松本深志高校の後輩でもあるということで、未来への喜望を感じます。
毎日がワンダー!毎日がブレイクスルー!
著者:前田祐一
製作:風塵社
発行:〒399-0033 長野県松本市笹賀7918番地
上高地自動車株式会社
2025年5月30日
■ プロローグ はじめに |
■ シーズン1:1947年 敗戦、帰還船、ビルマの竪琴 |
■ シーズン2:1960年 60年安保、チボー家の人々 |
■ シーズン3:1962年 松本深志高校、剣道、キューバ危機、宿題がマルクス、「渚にて」強行上映 |
■ シーズン4:1965年 青雲の志 中央大学 学生運動 |
■ シーズン5:1966年 自治会委員長、全中闘委員長、全国初学生単独管理学生会館要求バリスト |
■ シーズン6:1967年 佐藤首相ベトナム訪問阻止羽田空港突入!中大学費値上げ白紙撤回バリスト |
■ シーズン7:1968年 新東京国際空港:成田は経済効率最悪/豊穣農地破壊! 東京湾上に作れ! 成田空港公団突入総指揮/逮捕、防衛庁突入総指揮/逮捕 |
■ シーズン8:1969年 6月保釈出所、7月共産主義者同盟分裂:赤軍派を除名 7月共産主義者同盟学対部長、9月共産主義者同盟離脱/赤軍派に合流 11月武装蜂起部隊全員逮捕、主力部隊壊滅 |
■ シーズン9:1970年 1月中央人民組織委員会委員長、基盤人材獲得全国長征/長征軍隊長 2月政治局北朝鮮方針に反対 反対派多数戦線離脱、3月15日最後の逮捕 |
■ シーズン10:1970年 3月31日よど号ハイジャック発生! 逮捕、「不起訴の約束」は反故、起訴、投獄 |
■ シーズン11:1971年 獄中への一通の手紙 |
■ シーズン12:1984年 最高裁で謀議当日のアリバイが証明された。しかし判決は有罪、下獄 監獄改革、獄中の狂詩曲 |
■ シーズン13:1989年 早期仮釈放嘆願10万人署名/仮釈放内示、大韓航空機爆破事件(金賢姫)発生 仮釈放取消、プリズン留学12年満期出所、松本帰還 |
■ エピローグ |