社長からの手紙

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プロローグ|はじめに

2022.02.24 2024.11.29

私の名前はジャッカル。不正や不条理、理不尽を撲滅することを仕事としている。不正がまかり通り、弱者が放置される世の中が許せないからである。職業は弁護士でも政治家でも学者でもない。会社経営の仕事はしているが、人を紡ぎ、慈しみ、アメイジングに生きるよう煽ったり、人類史のゲームチェンジを画策鼓舞している。

なぜ私がジャッカルと呼ばれるのか? ジャッカルはラグビーで相手を倒し、ボールを奪い、劣勢を劇的にゲームチェンジする必殺の特攻技を指す。ラグビー日本代表のリーチマイケルや姫野のジャッカルは世界を震撼させた。私が、身体を張って不正や不条理を指弾し、弱者を扶けて来たことが、ラグビーのジャッカルと二重写しに見えるらしい。若い頃は、ゴルゴ13と言われていたが、最近では、ジャッカルと言われるようになった。

年齢は53歳。最新の解析コンピューターが弾き出した私の年齢である。通常使われている戸籍年齢は、単に足し算をしただけの形式数値であるが、解析コンピューターは、ボディエナジー、免疫力、戦略策定力、人間求心力、人間共振力等メンタル要素も総合的に診断し評点を算出している。進むべき羅針盤を持ってワンダーな生き方を貫いていることが年を取らない最大の秘訣らしい。メンタルな要素は、更に強くなることもあり得るので、1年後は49才ということもあり得る。毎日がオリンピックみたいでおもしろい。それと、彼女がいないことが、エネルギーを更に増幅しているとも言われ貴重な研究材料にもされているらしい。
とは言っても、心肺を酷使した累計年数は戸籍年齢と一致しているので、毎日が余命24時間のつもりで生きている。私は、2回暗殺されかかった経験を持っている。だから365日、毎日が余命24時間!毎日がワンダー!毎日がブレイクスルー!毎日がジャッカル!毎日がエンパシー!インクルージョン!である。

そのため、私は、学生時代から政府内庁に目を付けられている。今でも監視されているのかもしれないが、私のスマホは超強力ステルス仕様、無数の衛星経由で偽情報をランダムに発信し、どこにいるのか誰にもわからないようにしている。

イスタンブールの裏通りでカルメンと飲んでいたとか、南太平洋のタヒチでメーテルとカヤックに乗っていたとか、最新情報ではヒミコクリスタとマチュピチュにいたという情報もある。マチュピチュからクスコまでインカ道を歩き、クスコで光触媒太陽光ウォーターエンジン(*1)とペロブスカイト太陽電池のハイブリッド飛行船に乗り込み、イースター、タヒチ、オークランド、メルボルン、シドニー、バリ、コタキナバル、パラオ、ボラカイ、エルニド、ダナン、バンコック、シンガポール経由でカルカッタまで飛行すると言っているらしい。

飛行船の機体には、エクイティ/エンパシー/インクルージョン/ノーアームス/ノーサイドのメッセージが書かれ、世界196ヶ国の国歌をエンドレスで演奏し、人工光合成ドローン(*1)を飛ばし、天空のデモンストレーションをやると言う。人工光合成ドローンは、太陽光のエネルギーだけで大気圏内の炭酸ガスを減らし酸素を増殖し、CO2濃度を劇的に削減する。

カルカッタは、ガンジーが断食し、マザーテレサが、学校や孤児院を開設し、貧困や疫病と戦った聖地であるからである。飛行船の名前はイスカンダル、艦長はジャッカル、航空長がヒミコクリスタ、広報SNSがメーテル、乗船希望者が殺到しているらしい。
(*1:信州大学、堂免一成教授の研究 2024年ノーベル化学賞にノミネートされた)

日本の北アルプス山麓の隠れ家に居るという情報もある。マッカランを飲みながら森の鶯とデュエットしたり、バルコニーで猿と鉄板焼きステーキをやっているとか、温泉に浸りながら、バッハ、アルビノーニ、テレマン、リスト、ショパン、ラフマニノフ、チャイコフスキー、ベートーベンやジャズを聴いているとか、駅前の居酒屋で、世界で起こっている政治、戦争、歴史について捲くし立て、クレオパトラが元カノだとか、メーテルは俺の娘だとか、宇宙戦艦ガンジーが地球を救うために火星を飛び立って地球に向かっているとか喚いているらしい。道を創らなければ人類が滅びる分岐点にあるからである。

私の原点にマハトマガンジーという存在がある。ガンジーの塩の行進は、私を強く動かした。そしてサティアグラハ(真理の探索)は、私のアイデンティティになっている。ガンジーは、ナチス・ドイツがイギリス本土に侵攻しようとした1940年、イギリス国民に次のように呼びかけた。「持っている武器を下に置いてほしい。武器はあなた方を、乃至は人類を救う役には立たないのだから。」 

アパルトヘイト撤廃の武装闘争を率いたネルソンマンデラも、私にとって極めて大きな存在である。27年間の投獄を経て釈放され、アパルトヘイトを廃止し、全人種参加の普通選挙を実施して大統領にもなった。加えてネルソンマンデラは、白人のスポーツであったラグビーを、人種差別解消の象徴として、白人と黒人が一つのチームになって競技することに心血を注いだ。そして1995年、南アフリカで開催されたラグビーワールドカップでニュージーランドのオールブラックスを破って優勝するまでのチームに育てあげたのである。秘書が「ラグビーの応援は、政治的打算でやっているんですか」と問うた時「いや、人間的打算だ。」と答えたと言う。更に「相手の誇りを大切にしなさい、そうすれば、敵はやがてあなたの友となるのだから。」 (映画『インビクタス』参照)

マーチンルーサーキングの「I have a dream」も胸を躍らせた。「私には夢がある。それは、いつの日か私の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。」「人の真価がわかるのは喜びに包まれている瞬間ではなく、試練や論争に立ち向かうときに示す態度である。」

ジョンレノンがイマジンで歌ったノーヘブン、ノーカントリー、ノーポゼッションも希望を感じさせた。しかし、天国も国家も無くならなかった。所有という魔性の欲望はむしろ破壊的に増幅しているようにさえ見える。現代は、更に核の狂気が席巻している。ガンジーが生きていても核の狂気を止めることは不可能のように思える。不条理も理不尽も全く変わっていない。悲嘆に苦しんでいる人々の数は、ますます増えている。出口はどこにあるのか?だから人間はサムシンググレイトを求め、どんなに科学が発達しても神を求める。そこに宗教が存在する根拠があり、聖書が3500年、コーランが1400年以上も生き続けている理由がある。宗教対立の歴史が人類の歴史であるとさえ言える人間の事情が、そこにはある。だから、宗教も天国も無くならない。文明も言語も奪えない、だから国家も無くならない。

生命活動を維持するには空気、水、食料、エネルギーが不可欠である。アダムとイブ以来、そうした資源の争奪を巡る民族、国家の存亡を懸けた戦いが途切れることなく続いて来た。人口が増え続けるこれからの時代は、この生命維持ライフラインの争奪戦が、これまで以上に増幅することが予測される。月や火星、宇宙空間の所有権争奪戦を見ていると、黙示録の前夜に立たされているようにさえ思える。遺伝子学が画期的な細胞生成メカニズムを発見し、人類のDNAを変えることが出来ればと思っているが、人間は、誰も取り残さない公正な生存ライフラインが出来るまで決して戦争を辞めないだろう。いや人間は、公正な生存ライフラインが出来てもなお戦争を続けるだろう。ここが問題である。戦争因子をメルトダウンし、人類が互いに紡ぎ慈しむRNAエクイティワクチンが求められているのである。

ラグビーの基本精神にワンフォーオール・オールフォーワンがある。一人はみんなのために、みんなは一人のために!そしてノーサイド:戦闘中止!
オリンピックの精神であり、互助会、協同組合そして社会主義の原理でもある。

もし、毎週日曜日がキリスト教の安息日やイスラム教のラマダン、戦時下のクリスマス休戦のように、世界中が「日曜はノーサイド」で合意できたなら、エクイティ/エンパシー/インクルージョン/ノーアームス/ノーサイドの入口が見えて来る筈である。種を紡ぎ、生命を繋ぎ、空気と水、食糧とエネルギーの世界回廊をつくり、エクイティ/エンパシー/インクルージョン/ノーアームス/ノーサイドを人類の最終到達価値として共有し生き延びなければならない。喜望への羅針盤である。

(つづく)

シリーズ目次

                                               
プロローグ
はじめに
シーズン1:1947年  
敗戦、帰還船、ビルマの竪琴
シーズン2:1960年  
60年安保、チボー家の人々
シーズン3:1962年  
松本深志高校、剣道、キューバ危機、宿題がマルクス、「渚にて」強行上映
シーズン4:1965年 
青雲の志 中央大学 学生運動
■ シーズン5:1966年 
自治会委員長、全中闘委員長
全国初学生自主管理学生会館要求バリスト
■ シーズン6:1967年 
佐藤首相ベトナム訪問阻止羽田空港突入!
中大学費値上げ白紙撤回バリスト
■ シーズン7:1968年
新東京国際空港:成田は農地破壊/利便性最悪、新東京空港は東京湾上に作れ!
成田空港公団突入総指揮、逮捕
ベトナム戦争加担前線司令部・防衛庁突入総指揮、逮捕
■ シーズン8:1969年
6月保釈出所、7月赤軍派分裂、共産主義者同盟学生最高責任者(学対部長)
9月共産主義者同盟離脱、赤軍派へ、11月武装蜂起部隊全員逮捕
■ シーズン9:1970年
1月中央人民組織委員会委員長、全国長征:長征軍隊長
2月政治局北朝鮮方針に反対、北朝鮮反対派多数戦線離脱
3月15日別件逮捕
■ シーズン10:1970年
3月31日ハイジャック発生!黒幕?として起訴
1984年 最高裁で謀議当日のアリバイが証明されるも判決は有罪
■ シーズン11:1970年
~獄中への一通の手紙と監獄改革
■ シーズン12:1987年
早期仮釈放嘆願10万人署名、仮釈放内示
大韓航空機爆破(金賢姫)事件発生、仮釈放取消
■ シーズン13:1989年
プリズン留学12年、満期出所
友人たちがバスで出迎え松本帰還
■ エピローグ